犬、人よりも人の気持ちに敏感だから、異動して病み始めてそれでも泣かないように必死に堪えて帰ってきた私に一番に気がついて、いつもは塩対応なくせに、心配そうに鼻で鳴いて擦り寄ってきてくれて、それまで我慢してたのに犬の顔みて撫でたら耐えられなくなって涙が溢れたことが何回もあった。『ただいま。ありがとう。ごめんね。ごめんね。泣いてごめんね。ダメだね、私は』って泣きながら抱きしめて何回も何回も言った。いつもなら抱きしめると逃げていってしまうのに、嫌がらず逃げずべしょべしょに泣く私に抱かれたままでいてくれた。